7月13日、「Linux環境とWindows環境」で下記のように書いた。
OpenCFD社からは、Ubuntu、SuSE向けにはバイナリが、他のLinux向けにソースが公開されている。基本的にはLinux(UNIX)環境であれほとんど修正なしにリコンパイルのみで動作は可能であろうと思われるが、原則としてWindows環境で動作させることはできない。開発元であるOpenCFD社は、Windows版を作るつもりはないようである。
しかし、それでは困るのでWindows上で使えるような試みがいろいろとなされている。
現在日本では、DEXCS(デックス)を使うのが一般的だろうと思われる。DEXCSの詳細は「DEXCS Official Wiki」をご参照いただくとして、要はWindowsにVMWareを入れて仮想環境でLinux + OpenFOAMを動かそうというものである。
メリットとしては、
- Ubuntu+OpenFOAMを簡単にインストールできる
- OpenFOAMのフル機能が利用できる
- Blenderなど他のオープンソースツールがついてくる
- 簡単なGUI(ランチャー)がある
- DEXCS自体がオープンソースである
- ユーザーが多い
などがあげられるだろう。インストールしなくてもCDあるいはUSBメモリから起動できる機能もあって、これは会社や学校のマシンで勝手にソフトをインストールできないが(近年はセキュリティの関係でそういう場合が多い)、とりあえず使いたい場合にとても重宝する。
一方、デメリットとしては、
などがある。
実業務への適用は難しいだろうが、本格的に業務使用を始める際にはLinux環境の構築を検討するとして、そこに到るまでの調査や操作方法の習得には十分だ。
追記(2011/08/27)
コメント欄での指摘を受け、デメリットについて補足する(デメリットという言い方が適切ではなく、課題とか留意点とかいう方がいいのかも知れない)。
UNIXの知識といっても、最低限必要なコマンドに限ればさほど面倒ということはないが、UNIX系のマシンを触ったことのない人にとっては、心理的な壁になるだろう。
ソフトの速度に関してはアプリケーションやマシンの性能に依存するため、目的によってはDEXCSでも十分であると考えられる。仮に最終的には仮想環境では重たくて実用的でない場合も、業務用の解析を始める前には十分時間をかけて検証を行なうのが普通であり、その過程においては全く問題なく使用できる。
プリインストールされているものは1.7だが、既に2.0を導入するやり方が公開されているので、バージョンに関しては問題ない。
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