「数学セミナー」という雑誌には「エレガントな解答をもとむ」という有名なクイズがある。2026年1月号の出題者は一松信先生(と北村侃先生)だそうだ。twitterの「数学セミナー」公式アカウントが投稿していた。これに対して奥村晴彦先生が、「一松信先生、99歳だぞ!」とコメント。
一松先生、まだ生きておられたのか。いやご存命どころか、出題までされていらっしゃるとは。
若き頃、一松信先生の著書は何冊も拝読し、勉強させていただいたもの。ソフトウエア開発の仕事をするようになって、奥村晴彦先生の著書にもお世話になった。
一松先生の話で今でも覚えているのは、「『つるかめ算』に対して『くもはえ算』を提唱したが、受け入れられなかった」と自嘲気味に書いておられたことだ*1。でも私は着眼点が興味深いと思った。
つるかめ算は、たとえば「鶴と亀が合わせて8匹、足の本数は合計26本、鶴と亀の個体数を求む」というように、合計の個体数と足の数という二つの条件から二つの未知数を導くのだが、くもはえ算は、「足は合計46本。くもとはえは何匹ずつか」と、条件がひとつしかない。一見解けないようだが、実はこの問題は「正の整数である」という陰の条件がある。だから解ける。もっとも必ずしも一意には決まらない。46本の場合はくもとはえの個体数は(5, 1)(2, 5)の二通りある。
つるかめ算も整数問題なのになぜ条件に合計の個体数が必要かというと、亀の足は4本で鶴の足の倍だから。足が26本、という条件だけでは、亀は0~6匹のいずれでも成り立ってしまう。それでも解は求められるが、両者の足の数は倍数になっていない方がいい。
「一松信 くもはえ算」で検索してみるといくつかの記事がヒットする。が、定着はしなかった.取り上げた生物があまりにも好感度が低いのが原因だろう。鶴と亀は、なにしろめでたい。これにかなう生物はいない。
*1:「数学概論」だったと記憶するが、本をとっくに処分してしまい、確かめようがない。
