このブログは「CAE業界の人」を対象と考えており、業界特有の専門用語を説明抜きで使っているが、ここで最低限の説明をしておくことにする。
「CFD」というのはComputational Fluid Dynamicsの略で、一般に「数値流体解析」ないし「数値流体力学」と訳すことになっているが「流体シミュレーション」と言った方がイメージしやすいかも知れない。川の流れや風のように、ものが流れていく現象は世の中にたくさんあるが、こうした空気や水などがいかに流れるかを、計算によって求めることをいう。
こうした流体解析をおこなうためのソフトウエアはいろいろあるのだが、著名なところでいうと、ANSYS社のFLUENTやCFX、CD-adapco社のSTAR-CDやSTAR-CCM+などがあげられる。これらは固有名詞だが、「ANSYS」は恐らく「Analysis Systems」(解析システム)の略と思われる。STAR-CCM+の「CCM」はComputational Continual Mechanics」の略で、まさに「連続体力学解析」の意味である。FLUENTのFLはflowから取ったものだろうし、CFXのCFはCFDから取ったものだろう。
こうしたソフトは、モジュール構成にもよるが、ざっと一年間の使用料が300万円前後する。製品の機能や開発コストを考えると、必ずしも高いとはいえないが、少なくとも個人が購入するのはまず無理だろう。一方、本ブログのメイントピックスであるOpenFOAMは、FLUENTやSTAR-CD/CCM+などと比べ、機能面では必ずしも遜色ないのだが、オープンソースであるから導入に当たって費用はかからないのだ。だから昨今、多くの企業や個人から注目を集めている。
もちろん、本当に同じような機能を持ち、同じように使えるにも関わらず、一方が数百万円で一方が無料、というようなうまい話は(あるいは、バカな話は)世の中にはないのであって、費用がかからない代わりに、OpenFOAMにはOpenFOAMの問題点もいろいろあるのだ。そのあたりを、これからおいおい書いていきたいと思っている。
過去記事
- 本田技研がCAE用にHPのサーバーを導入(2011/09/01)
- OpenFOAM®とは(2011/06/20)