少し旧聞に属する話だが、書き漏らしたので記しておく。
2011年4月1日、株式会社CDaESの副社長に羽部篤氏が就任。7月1日には社長に昇格した。
CDaESはCD-adapcoの日本法人である。CD-adapcoはSTAR-CD、STAR-CCM+などのCFDソフトの開発・販売を行なう、CFD分野では世界第二位のベンダーである(一位はFLUENT、CFXを持つANSYSであろう)。
現在、日本でSTAR-CDやSTAR-CCM+の販売・サポートを行なっているのはCDアダプコ・ジャパンである。会社名からするとCD-adapcoの子会社のような印象を受けるが、資本関係はなく、いち販売代理店という位置づけである。そうはいっても1994年の創業以来17年、リクルート時代を含めると20年以上も日本でSTAR-CDの販売に尽力しユーザーを増やしてきたわけだが、少し前に直の会社、CDaESが設立されてしまったのである。
ANSYS製品は、これも20年以上も前から日本ではサイバネット・システムが販売・サポートを行なってきた。現在はアンシス・ジャパンが存在するが、今のところはプロダクトやテリトリーを分けながら共存共栄を図っているようである(将来はわからないけど)。一方、同じサイバネット・システムが扱ってきたMATLABは、MATLAB Japanができてプロダクトを取り上げられてしまった。
羽部篤氏は、1999年にフルーエント・アジアパシフィックが設立された際に社長に就任、その後11年にわたって売り上げを10倍以上に伸ばしてきた辣腕の経営者である。FLUENTがANSYSに買収されたあと、アンシス・ジャパンの社長に就任したが、2010年9月末で退職し、その後の去就が注目されていた。FLUENTから見た場合に最大の競合であったCD-adapcoに移るとは驚きだが、CD-adapcoから見ると実にいい人材を手に入れたというべきか。
CDaESがライセンス販売を始めるのは2013年初頭らしい。その後一気に国内のCFDの地図が塗り変わるかも知れない。