OpenFOAM事始め(はてなブログ編)

CAEにまつわるアレとかコレ

オープンソースは商用ソフトの競合ではない

OpenFOAMは、オープンソースなCFDコードである。無料で利用できるにも関わらず、数百万から一千万円近くするような商用CFDソフトウエアと遜色ない機能を持つ、と説明されることが多い。

そうなると当然、ユーザーとしては、現在高いライセンス料を払っている商用ソフトをやめてOpenFOAMに移行できないか、を考えるだろうし、一方、商用ソフトベンダーは、OpenFOAMを競合視するようになる。そして、こうやれば置き換えられる、いや、まだまだ置き換えは難しい、といった視点のみでOpenFOAMが評価されたりもする。

僕は、OpenFOAMが商用CFDソフトウエアを置き換えることはないし、その必要もないと思っている。個別のユーザー単位で見た時に、結果的にOpenFOAMの使用頻度が上がり、商用ソフトウエアのライセンス数が減る、という現象は起きるかも知れないが、大きなものではないと考える。

そもそも世の中全体のCFDのニーズに対して、商用コードは100%応えられるのか? そんなことはないだろう。

これまで、「それはCFDでは無理」あるいは「非常に難しい」と判断されたことのうち、実は「商用CFDソフトでは無理」というだけで、「オープンソースCFDソフトを使えば可能性あり」というものは、意外とたくさんあるのではないか。そうした場に今後OpenFOAMがどんどん入っていけば、ユーザーもハッピーだし、業界自体が大きく変わる。僕はそれを期待している。

商用ソフトベンダーの人がOpenFOAMを敵視するのは、わからなくもないが、それは間違いだ、と敢えて断言したい。そういう人はユーザーのニーズが見えていないんじゃないか、と。

商用CFDソフトとOpenFOAMは、本来競合するものではない。相補い合うものだ。だからESIがOpenFOAMをはじめたのは正しい。ANSYSもOpenFOAMをやればいいのに、と思う。