OpenFOAM事始め(はてなブログ編)

CAEにまつわるアレとかコレ

ANSYS、SpaceClaimを買収

ANSYSがSpaceClaimを買収した。8500万ドル。この時のレートは101.8円なので、ざっと87億円くらい。

三次元の数値解析を行なうにあたっては形状データありきである。複雑な形状であれば設計者が作成したCADデータを利用することになるが、一般にCADの生データはそのまま使えないため、解析者が手許で修正を行なう必要性が生じる。またシンプルな形状であれば、解析者が一から形状を作った方が早い、ということもある。

そのため、解析の現場では、高価で機能豊富で操作習得の面倒なハイエンドCADソフトではなく、安価で使い勝手のいいモデラーの需要がある。が、それに該当する製品は実はほとんど存在せず、自分の知る限りでは唯一該当するのがSpaceClaimであった。

ANSYSはもともとDesignModelerというモデラーを持っているが、SpaceClaimとは比較にならない。機能も使い勝手も明らかに物足りなかったことから今回の買収になったのだろう。ANSYSユーザーにとってはいい話だ。SpaceClaim側にとっても、ANSYS Workbenchの標準モデラーとなればユーザー数は何倍、何十倍(もっとか?)となるだろうから、これもいい話に違いない。

ただし、単体販売をANSYSがいつまで続けるかはわからない。他社の解析ソルバーのためのモデラーとして使われることは、ANSYSは望まないだろう。業界全体にとっていい話といえるかどうか。
(2017/09/27 記)