サイバネット、中国でANSYS販売開始
サイバネットシステムが中国でANSYSの販売を開始するようだ。これは結構大きなニュースなのではないだろうか。
- サイバネットシステム、中国の日本企業現地法人対象に汎用解析ツールの販売・技術サポートを開始(日経プレスリリース、2011/09/14)
- サイバネットがANSYSの販売・技術サポートを中国国内で開始(サイバネットシステム、2011/09/14)
日経の記事は本文はプレスリリースと同じようだがタイトルだけが違う。「ANSYS」という固有名詞を出すとまずいのだろうか。
さて、サイバネットの子会社で中国の現地法人が、ANSYS Chinaの二次代理店として、中国に進出した日本企業を対象に販売するという。かなり画期的な話である。
近年、中国(に限らずアジア各国)への製造業の進出が盛んである。当然、そこでCADやCAEソフトを使うことになる。その場合、日本から赴任した人は、日本語版を使いたい、日本語でのサポートを受けたい、と考えるだろう。
しかし、恐らくは輸出規制の問題で、一般に日本で購入したソフトウエアを海外へ持ち出すことはできないし、日本の販売店が海外の会社にソフトウエアを販売することもできない。現地に販売店があればチャネルの問題も生じる。そのため、中国にいる日本人が日本語版のソフトを買い、日本語によるサポートを受けるというのはなかなか難しい。
サイバネットは中国に子会社を作り、ANSYS Chinaの二次代理店になることで上記の制約をクリアした。あとは日本のスタッフが対応すればいい。電話やオンサイトサポートは難しいとしても、Webサイトのサポートページやメールなどであればまったく問題なく利用できるわけである。
顧客にとっても朗報だが、サイバネット側にとってもメリットは大きいと推測する。顧客は、グループ企業であれば、当然日本でも中国でも同じ環境で設計・解析業務を行なう必要があるが、どちらも日本語でサポートが受けられますよ、ということになれば、競合会社に対してアドバンテージを持つ。
何より、アンシス・ジャパンの存在する今、ANSYSとしてはいずれサイバネットとの販売契約を解除し、販売・サポートはアンシス・ジャパンで一本化することを検討すると思うが、こうしたシステムを構築しておけば、ANSYS側は安易に取り上げることができなくなる。サイバネットの一番の狙いはそこにあるのかも知れない。