HPがPC部門を売却? Digitalの遺伝子途切れる
HPCの話とも少し違うけど、いずれ影響が出てくるだろうから記録しておく。
HP(Hewlett-Packard)が、18日、PC事業の売却、TouchPadおよびWebOSデバイス事業の中止、さらにオートノミーの買収を発表した。
ニュース
- 米HP、パソコン事業分離を検討 企業・官公庁向けに集中(日本経済新聞、2011/08/19)
- HP、PC事業の売却、webOS事業の閉鎖、オートノミーの買収を矢継ぎ早に発表(Computerworld、2011/08/19)
- 米HP、パソコン事業切り離しを検討(Yomiuri Online、2011/08/19)
- 米HP:オートノミー買収で合意、103億ドル−PC事業分離計画(3)(Bloomberg.co.jp、2011/08/19)
本ニュースに対する見解、予測など
- HPは、基調講演直後に WebOS を見捨てた(japan.internet.com、2011/08/19)
- HPの英断。日本のメーカーは?(BLOGOS、2011/08/19)
- news - HPのctrl+alt+delが英断どころか油断だらけの理由(404 Blog Not Found、2011/08/20)
ちなみに、3月の時点で既にこんなニュースが流れていたようである。
- HPがパソコン事業部売却か、台湾の協力メーカーに影響及ぶ可能性も(台湾通信、2011/03/10)
- SamsungによるHPのパソコン事業買収の噂(TechNote、2011/03/11)
3つの事業の中で、CAE業界にも影響があるだろうと思われるのは当然PC事業の販売に関してだが、3つの売買の中で一番不可解である。売り上げ不振で事業部売却、というのは今さら珍しくもないが、HPのパソコンの売り上げは世界のトップシェアで、HP内でも1/3の売り上げを占める一大事業である。利益率がITサービスに比べて低かったというが、わかったようなわからないような説明である。
また、売却を決めたといっても、売却先と合意に達したというわけではなく、今後1年〜1年半の間に売り先を決める、というのはさらに不可解である。交渉は秘密裏に、発表は迅速に、がM&Aの鉄則だ。これでは今後HP製のPCを買おうという人は激減するだろう。売却が完了するころにはシェア順位はランク外に落ちているのではないか。
昔、Digital Equipment(DEC)という大変すぐれたミニコンメーカーがあった。VAXやPDP-11などの名機を輩出し、EWSの時代になってもAlphaという超高速チップを作るなど、技術的には一頭身抜けていたメーカーだった。CAE業界に20年くらい関わっている人であれば、どこかで必ずお世話になったはずである。そのDECがCOMPAQに買収され、COMPAQがHPに買収され、そして今、PC事業の切り離しが決まった。Digitalの遺伝子はここで途切れてしまうのか。