OpenFOAM事始め(はてなブログ編)

CAEにまつわるアレとかコレ

オープンCAEワークショップ

6月8日、オープンCAEワークショップに参加してきた。

たいへん興味深いイベントだったのだが詳しく書いている余裕はないのでひとつだけ。基調講演は大島伸行先生(北海道大学)の話。FrontFlow/redについて、会場から「あまり成果が出ていないのではないか」というような質問が出て、大島先生が「私たち、関係者一同が大きな経験を積むことができ、高い知見が得られた。それが成果だ」という意味のことを回答されていた。

休憩時間に何人かと話をしてみると、ていのいい言い訳だと受け取った人もいたようだったが、僕はむしろ「なるほど」と感心して聞いていた。

国家プロジェクトの目的は何か、なんのために多額の税金がつぎ込まれるのかというと、個々にはいろいろあろうが、最終的には技術の蓄積=人材の育成なのだろうし、また、そこにつながらないと意味がない。人材が育成できたのかどうか、評価が難しいから、プロジェクト成否の判断は難しいが、そうした目的意識は持っていなければいけないのだろうと思う。

それで思い出したのが次世代スーパーコンピュータプロジェクト。つまり京だ。CPUに富士通SPARCを使用しているため、一般のワークステーションクラスタシステムと互換性がない。x86のCPUを使えば、もっと安価に、もっと使いやすいシステムができるのに……という不満というか、批判をあちこちから聞いた。国家プロジェクトの名目のもと、民間企業や関係者が税金を懐に入れているだけなのではないか、国民の血税を使うという意味を考えたら、少しでも安く、少しでも効率のいい製品を作るべきなのではないか……

これに対して僕は、税金を投入するプロジェクトだからこそ、その大部分がIntelだとかAMDだとかの海外企業に流れてしまっては意味がない、国産企業を育ててこその国プロだと反対意見を述べてきた。この時僕の頭にあったのは経済的な側面だったのだが、技術の継承という意味もあるな、と気づいたのである。