OpenFOAM事始め(はてなブログ編)

CAEにまつわるアレとかコレ

Dr. JasakによるOpenFOAMトレーニング

Hrvoje Jasak博士が来日して日本でトレーニングを開くという。これは結構、画期的なイベントではないかと思うがどうか。

OpenFOAMの前身となるFOAMを開発したのは、英国Imperial College出身のHenry WellerとHrvoje Jasakの二人である。1999年に共同でNabla Ltd.という会社を作り、FOAMの開発・販売を行なっていたが、2004年になってFOAMを完全にオープンソース化して仕切り直すことになり、Nablaは解散した。

その後Henry WellerはOpenCFD Ltd.という会社を設立。OpenFOAMは現在はOpenCFD社の登録商標であり、開発もOpenCFD社が継続して行なっている。一方、Hrvoje JasakはWikki Ltd.という会社を設立。OpenFOAMの機能拡張に意欲的に取り組んでいる。Jasakらが機能を追加したものはOpenFOAM Extendと呼ばれており、これもオープンソースとして利用できる。

なぜHenryとHrvojeが別れてしまったのかはわからないが、二人の進む道が微妙に異なってきたことが、結果的にOpenFOAMに幅を持たせ、普及には却って良かったようにも思える。

そんな二大巨頭のうちの一人が来日することになった。今回が初来日だそうである。Hrvojeは(Henryもだが)OpenFOAMの普及にも熱心で、アメリカやヨーロッパ各地でトレーニングを行なっているのは知っていた。さすが大学の先生というべきか、説明がわかりやすいと好評らしいという噂も目にしたことがある。“Hrvoje Jasak”の知名度は、彼の師である“David Gosman”ほどではないが、この業界のかなりの大物が来るなという印象である。

欧米では日本よりもOpenFOAMが使われていると聞く。Wikki社はコンサルティングもいろいろ手がけているから、適用事例をいろいろ見せてもらえるのではないかと期待している。

これからOpenFOAMを始めようと思っている人、それから……以前OpenFOAMを試してみようと思ったが面倒でそのままになっているとか、難しくて挫折してしまったとかいう経験のある人にとっては、貴重な情報収集の場になるのではないかと思う。